ボディビルダー絶賛!なぜ、ケトジェニックダイエットでは筋力が落ちないのか【論文紹介】
皆様こんにちは、ぷっか博士です。
筋トレをしている人が持つ共通の悩み。それは、
『減量で筋肉も落ちてしまう』ということですよね。
このコロナ禍で自宅待機・ジムにも行けなかった!というボディビルダーの方も多いのではないでしょうか?
一般のトレーニーの方も、巣ごもりで体脂肪が増えてしまった・・・なんて方も多くいらっしゃると思います。
だからこそ、トレーニング再開だけでなく、増えてしまった脂肪を燃やしたいという方も多くいらっしゃるでしょう。
でもだからと言って、減量のために筋肉量を落としたくはないですよね。
ダイエットや減量中は、筋肉量が減ってしまうのはやむ終えない。少しでもそれを防ぐためには、アミノ酸やプロテインの摂取をしよう。
というのがこれまでは割と定説でしたが、近年の研究では、ケトジェニックダイエットならば、減量しつつ、筋肉量、もしくはパワーを強化できたという報告も多くなってきています。
ボディビルダーの山本義徳さんや、YoutuberのJINさんなども、ケトジェニックダイエットの良さを解説されていますね。
そして僕も、研究者の視点から、ケトジェニックダイエット、いや、ケトン食(ケトジェニックダイエット中の食事)での減量についての研究をもとに解説していきます。
今回は、『ケトジェニックダイエットが筋力を落とさずに減量できる手法』だ!という事実をご紹介します。そのために、今回は、2018年にオーストラリアの大学が行った、
A Low-Carbohydrate Ketogenic Diet Reduces Body Mass Without Compromising Performance in Powerlifting and Olympic Weightlifting Athletes[文献1]
(低炭水化物ケトジェニックダイエットはパワーリフティングやウェイトリフティングのパフォーマンスへの妥協なしにBMIを減らす)
という研究をメインとして、合計3報の論文を紹介いたします。とくに3報目は、減量なんか関係なくケトン食が筋トレに効果的かもというお話なので要CHECKです(笑)
行われた研究の内容
目的
まず、本研究では、研究の目的をこのように述べています。(一部を抜粋、要約)
これまで、多数の研究でケトジェニックダイエットの効果は報告されており、例えば、筋肉量の維持ができたという研究もいくつかあるが、『体組成の変化』(筋肉と体脂肪と水分などの割合の変化のこと)については詳細が研究されていない。また、アスリートの体重コントロール戦略(スポーツ選手などは重量制限があったりするため)に使用するといった研究は無い。[文献1]
このようなことから、著者らは、
①パワーリフティングとウエイトリフティングでケトジェニックダイエットは体重コントロール戦略として使えるのか
②ケトジェニック中の体組成や代謝の変化について調べる
という二つの目的を設定しました。
とくに後者では、ケトジェニックダイエットの減量は、体内の水分量変化や炭水化物の貯蔵量変化についても詳しく調べ、『意味のある減量(筋肉ではなく脂肪が減っているか等)』なのかどうかも調べたいと考えて実験を行ったようです。
実験方法
18歳から55歳までの中~上級者のパワーリフター及びウエイトリフター14人を対象に行った実験です。
参加者を、糖質制限食(カロリー上限は無し、糖質は50g以下)もしくは通常の食事にランダムに割り当てました。
決められた食事を3か月の期間行ってもらい、14日の休憩期間を設けたのち、再度、ランダムに二種類の食事に分け、これも3か月の期間行いました。[文献1]
より詳しい情報は割愛します。
結果
ケトジェニックVS通常の食事で比較すると、ケトジェニックグループは平均して約2 kg減量したのに対し、通常の食事を摂ったグループは1.5 kg増加していました。
体脂肪に関しては、ケトジェニック食グループは変化なし、通常の食事グループは1%増加していました。
そして、どちらのチームも最大挙上重量は成長していました。
つまり、ケトジェニックダイエットグループは、体重を減らしながら、パフォーマンス(筋力・パワー)を向上できたということになります。
ここで一か所気になるのは、ケトジェニックグループは体脂肪が変化しておらず、除脂肪体重(体脂肪以外)が減っていることです。つまり、筋肉量が減った可能性があります。
でもおそらく大丈夫。実際の挙上重量は上がっています。
著者らは、体脂肪測定装置が、体内の水分を測定するメカニズム上、ケトジェニックダイエットではうまく測定できない可能性があったと述べており、追加の研究の必要性も提案しています。
挙上重量の伸び率は、たしかに通常の食事を行っているグループのほうが少し高いですが(差が小さいので、何とも言えないが)減量しているということを考えるとすごいことだと思います。(その他のダイエットではこんなことは起こらないと思います。)
そのほかの研究
6週間のケトジェニック食 VS 通常食
こちらの研究[文献2]では、
ケトジェニックダイエットを行ったグループと通常の食事を摂り続けたグループで比較すると、ケトジェニックグループが400 kcal以上も平均で多くカロリーを摂取していたにもかかわらず、ケトジェニックグループは体脂肪率が大きく減少(平均20.5%→16.9%)した。
しかも、除脂肪体重(体脂肪以外の体重で、筋肉量や水分量、骨の重さなどを含む)が約2%増加(平均60.4 kg→61.5 kg)。
つまり、カロリーを多くとっても体脂肪がちゃんと落ちていることを意味します。
ただし、この研究は人数が8人とかなり少ないため、個人差の影響がぬぐえませんね。
ケトン食は通常の食事より筋トレに効果的
こちらの研究は、ダイエットというよりは、長年にわたって筋力トレーニングをしている男性の食事を、通常の西洋の食事とケトン食、どちらが効果的かを調べた研究です。この研究の結果がめちゃくちゃ興味深いんです!
(ならこれをメインで紹介すればいい気が・・・(笑))
結果からお話ししますと、
ケトジェニック食をとっていたチームは体重は約2 kg、西洋食チームが約1 kg増加し、ベンチプレスの重量で言うと、ケトジェニックチームは約10%、西洋食チームは約6%の重量増加をした。
(測定は、ケトン食から通常の食事に戻した後に行っている。)
ちなみに、他の研究のようにダイエット効果は出ていないのか!?というと、そうではありません。
体脂肪率も減少し、除脂肪体重(体脂肪以外の体重で、筋肉量や水分量、骨の重さなどを含む)が向上していました。
(体脂肪の減少量は、ケトン食チームが平均2.2 kg減、通常食チームが平均1.5 kg減)
もしかしたら、減量するような食事をしていない場合でもケトン食のほうが筋力UPしやすいのかもしれません。
血液中の成分の変化については、ケトン食チームはテストステロン(筋肉をつけるのに必要なホルモンで、男性ホルモンの一種)の値が大幅に向上していたことも分かりました。
これは、減量中にケトジェニック食(ケトン食)で筋力が減らない理由と関係している気もしますね。
加えて、糖質の再導入戦略は難しいという主張もされています。この研究では2か月半のケトン食を経て、1週間で急速に糖質を戻しており、この場合は、血中中性脂肪が多くなっていることが分かりました。このことから、このトレーニングをされる場合は、糖質を緩やかに戻していく必要がありそうです。
これについては、今後また、関連研究を探してみる予定です。
[文献3]Wilson JM, Lowery RP, Roberts MD, Sharp MH, Joy JM, Shields KA, Partl J, Volek JS,
Dominic D’Agostino, , (2017) Volume Publish Ahead
まとめ
お読みいただきありがとうございます。
権利の都合上、引用と呼べる範囲でしか内容を示せないため、実験詳細についてはあまり述べられませんが、
これらの研究はどうやら、ケトジェニックダイエット中の食事=ケトン食は、減量中でも、トレーニング次第で筋力を維持・もしくは増強させることが可能なようです。
さらに、減量中でなくとも、ケトン食のほうがより効率よく筋力UPができる可能性を示唆しています。
これは、筋肉をつけたい方や、ボディビルダーの方にはめちゃくちゃ朗報ではないでしょうか。
ただ、実験に参加している人数がかなり少ないため、今後の研究が期待されますね。
もし、筋トレやボディビルをされている方で、減量の方法を検討されている方がいらっしゃったら、ぜひケトジェニックダイエットに挑戦してみてはいかがでしょうか。
実際のケトン食についてはこちらの記事で解説しています。
ケトジェニックダイエットに挑戦する方は、まずこれだけはチェックお願いします!
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